このシリーズでは、〝日常業務に生かす生成AI〟をテーマに、簡単にできる活用事例をご紹介していきます。
第1弾は、[契約書の文案チェック]です。
契約書のような文書では、誤字・脱字のチェックだけでなく、内容の整合性チェックも必要です。これを生成AIにやらせてみましょう。
〔略〕
第2条(販売権の付与)
販売者は、乙に対し、製品の販売権を独占的に付与する。
乙は、販売者から提供された製品を販売する専属の権利を有する。
第3条(販売地域)
乙は、製品を国内全域で販売することができるものとする。
乙は、販売者が指定した地域外での販売を行ってはならない。
〔略〕
この契約書文案を生成AIにチェックさせます。
「プロンプト」とは、生成AIに与える〝指示〟のことです。
# 依頼: 販売代理契約を締結すべく、次のような契約書面の文案を考えました。 条項間に矛盾がないか、文案のチェックをお願いします。 # 文案: 〔略〕 第2条(販売権の付与) 販売者は、乙に対し、製品の販売権を独占的に付与する。 乙は、販売者から提供された製品を販売する専属の権利を有する。 第3条(販売地域) 乙は、製品を国内全域で販売することができるものとする。 乙は、販売者が指定した地域外での販売を行ってはならない。 〔略〕 # 回答条件: - 矛盾している条項の文言を挙げてください。 - 矛盾している箇所ごとに、矛盾していると言える理由を指摘してください。 - 最後に修正案を示してください。
このプロンプトでは、「# 依頼:」や「# 回答条件:」のように、プロンプトの中での記述の役割を明示しています。
このようにすることで、より詳細かつ意図に沿った回答が得られる、とされています。
たとえば、次のような回答が生成されます。
以下に、販売代理契約書案における矛盾点を挙げ、理由を指摘し、修正案を示します。
1. 第2条(販売権の付与)と第3条(販売地域)の矛盾
矛盾点:
第2条では「販売権を独占的に付与する」と記載されていますが、第3条では「販売者が指定した地域外での販売を行ってはならない」と地域制限が設けられています。
「独占的販売権」を付与する場合、特定の地域外で販売ができない制限は矛盾する可能性があります。独占権を付与した場合、一般的には販売地域の制限は無いはずだからです。理由:
「独占的な権利」というのは、他の代理店がその地域で販売する権利を持たないという意味です。そのため、地域制限を設けると独占性が損なわれる恐れがあります。
修正案:
第2条を「販売者は、乙に対し、製品の販売権を付与する」と変更し、第3条を「乙は、製品を販売する地域を特に指定することなく、国内全域で販売することができるものとする」と修正します。
〔略〕
いかがでしょうか?
矛盾点の指摘にとどまらず、修正案まで示してくれました。
もちろん、生成AIの回答は〝絶対に正しい〟というものではありませんので、確認作業は必須です。
ときどき変な回答を返してくるのも事実です。
それでも、何の手掛かりもなくチェック作業をするのに比べたら、はるかに楽になるのではないでしょうか?
生成AIにテキストを送信するときは、うっかり機密情報を送信してしまわないように気を付けてくださいね!
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